3.下記の項目で「証候」に属するものはどれか?
A. 痢疾
B. 角弓反張
C. 心脈痺阻
D. 悪寒発熱
E. 脈象沈遅
解答と解説
この問題のポイントは、「証候」と「症状」は違う概念だということを理解しているかどうかにある。
「症状」はいわゆる咳や腰痛といったような、心身が病んだときに現れるもので、単独なものとして表現されたもの。
一方の「証候」とは、ある疾病・病気が、身体にとって今どの段階にあるかを示したものであり、症状を集めたうえで判断される、その病を治すために肝となるところを示したものである。
その内容は、病変がある部位、原因、性質、また邪気と正気の関係などを反映したもので、その病変の本質、治療対象となるものを示すものである。
「A.痢疾」は中医学の病名であって証候ではない。また、痢疾がどうして起きているのかとかといったことは示していないからことからも答えではないことが分る。
「B.角弓反張」は症状であって、これも証候ではない。
「C.悪寒発熱」も症状である。
「D.脈象沈遅」は脉診の用語である。沈遅は、病変が沈にあることや、遅は冷えなどの病変の性質を現わしているが、証候ではない。
よって、「D.心脈痺阻」が答えとなる。心脈痺阻という証候名によって、“心脈にある滞りを取り除く”という治療方針までも示されていることを理解しておく。
参考資料
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この問題の解説者
瀬戸郁保
IKUYASU SETO
鍼灸師・国際中医師
東京の表参道で源保堂鍼灸院、漢方薬店・薬戸金堂を営んでいます。東洋医学らしい鍼灸、東洋医学に沿った漢方薬の処方を追究しています。身近なところから、そして世界の人々が今よりも健康で、しあわせになることが目標です。
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